妊娠前によく旅行していた妊婦さんは「妊娠中でも旅行したい」と思うことがあるのではないでしょうか。
妊娠前にあまり旅行していない妊婦さんの中には「出産前に旅行を楽しんでおきたい」と思う妊婦さんも少なくありません。
でも、妊娠中に旅行するとなると「どこに、いつ、どうやって行けばいいの?」と悩みますよね。妊娠前と妊娠中では、身体の状態が全く異なるため、いつも以上にしっかり計画を立てたいところ。
そこで、妊娠中の旅行先、時期、交通手段の選び方を紹介します。
目次
妊娠中の旅行先の選び方
旅行の計画を立てる時に、一番ワクワクするのが旅行先の選び方ではないでしょうか。
「どこに行こうかな」「何を食べようかな」と考えるだけで、旅行が楽しみになりますよね。
とはいえ妊娠経過が順調でも、体調が良くても妊娠中はリスクがつきものです。旅行先で体調を崩したら、旅行を楽しめません。
旅行を楽しめないどころか、万が一の事態が起きる可能性があります。 では、妊娠中の旅行先はどのように選べばいいのでしょうか。
妊娠中の旅行先の選び方は3つあります。
1.近くに産婦人科がある
妊娠すると家から近い産婦人科に通い、その産婦人科がかかりつけの病院になると思います。妊娠中に相談したいことがあれば、かかりつけの産婦人科に行くのが一番。
でも、旅行先で産婦人科に行きたくなった場合、帰ってかかりつけの産婦人科に行くとなると、移動に時間がかかります。移動に時間がかかると、移動中に体調が悪化するおそれも。でも旅行先に産婦人科があれば、万が一の事態が起きても安心ですよね。
移動中に体調が変化した場合に備えて、交通ルートにある産婦人科も調べておきましょう。
産婦人科の中には「こちらで妊婦健診を受けていない妊婦さんは、診察できません」という病院もあります。「妊娠経過を詳しく把握していないのに、正しく診察できるのか」と疑問に感じる医師もいるようです。
救急外来を受け付けている病院であれば、その病院で妊婦健診を受けていなくても、診察してもらえる可能性が高いです。
ホームページを確認し、不安な場合には電話で問い合わせておくといいですね。かかりつけではない産婦人科に行く場合、妊婦健診の結果などを見せて、妊娠経過を説明するのが一番です。
旅行に必要な荷物に加えて、母子手帳と健康保険証を忘れずに持ち歩いてくださいね。
2.夫婦二人だからこそ楽しめる
妊娠中はお腹が大きくなったり、体調が変化しやすかったりして、思うように出歩けない妊婦さんもいらっしゃると思います。「出産して、お腹がへこんでから旅行しよう」と考える妊婦さんも少なくありません。
でも、出産してすぐに、体型や体調が妊娠前と同じ状態に戻るわけではありません。産後、半年から一年かけて、ゆっくり元に戻っていきます。
また、慣れないオムツ交換や授乳などで、産後は寝不足の日々が続きます。お母さんは自分の身体をいたわりながら、子育てしなければいけないんです。
また、生後間もない赤ちゃんは免疫力が弱いので、赤ちゃんを連れて頻繁に外出したり、遠出したりすることはできません。
でも、赤ちゃんが成長して、大きくなったらなったで、赤ちゃんを抱っこしたり、ベビーカーに乗せたりして歩くのは大変。
赤ちゃんには申し訳ないですが、夫婦二人じゃなければ楽しめない観光地はたくさんあります。妊娠中の旅行先には、夫婦二人だからこそ楽しめる場所を選ぶのがおすすめです。
夫婦二人だからこそ楽しめる場所と聞いて、海外旅行を思い浮かべる妊婦さんもいらっしゃると思います。確かに、赤ちゃんが生まれると、海外旅行はなかなかできません。
でも、国内旅行に比べて、海外旅行はトラブルの対応が難しいです。
移動時間が長くなることはもちろん、万が一、旅行先で出産することになった場合、保険が適用されないので、全額自己負担しなければいけません。
産後の肥立ちが良くなかったり、赤ちゃんの成長が遅かったりすると、入院期間が延び、旦那さんの宿泊代が追加でかかるおそれがあります。
お母さん、赤ちゃんの健康のために必要な費用ではありますが、子育てにはお金がかかるので、抑えられる出費は抑えたいところ。海外旅行は控えるのが無難です。
3.マタニティプランのある宿を利用する
ビジネスマンや赤ちゃん連れに優しいプランがあるように、妊婦さんに優しいプランを用意する宿が増えています。妊婦さんに優しいプランをマタニティプランといい、妊婦さんの身体、心をいたわるサービスを提供しています。
例えば、アルコールを全く使用していない料理を提供したり、身体を温めるための湯たんぽ、横向きになるための抱き枕を貸し出したりします。また、マタニティプランの多くは、直前にキャンセルしてもキャンセル料が発生しません。
通常、キャンセル料は一週間前や3日前から発生しますよね。
妊娠中は体調が変化しやすく、昼まで体調が良かったのに、昼寝から起きたら身体に異変を感じることもあります。数時間後の体調の変化を予測できないのに、一週間後の体調の変化を予測するなんてできませんよね。
実際「キャンセル料が発生したら…」と心配して、旅行に踏み出せない妊婦さんが多いです。キャンセル料が発生しないのは、妊婦さんにはとても嬉しいサービスですね。
その他、客室に露天風呂がついている、リクライニングチェアが置かれているなど、妊婦さんがリラックスして過ごせるようなサービスを提供している宿もあります。
宿によって、マタニティプランのサービス内容はさまざま。旅行先に悩んでいる妊婦さんは、マタニティプランのある宿を探して、旅行先を決めてもいいかもしれません。
妊娠中の旅行の時期の選び方
産後は子育てに追われるので、旅行するのが難しいと紹介しましたが、だからといって、妊娠中であればいつでも旅行していいわけではありません。
10ヶ月の妊娠期間は、妊娠初期・中期・後期の3つに分けられますが、妊娠中に旅行するなら、安定期(5ヶ月から7ヶ月、16週から28週)がおすすめです。
というのも、妊娠初期はつわりに悩まされ、旅行を楽しむことができない可能性が高いからです。また、胎盤が完成していないため、アクティブに行動すると、流産する確率が上がってしまいます。
特に、心拍確認ができるまでは、安静に過ごすことが大事です。
また、妊娠後期はお腹がどんどん大きくなって動きにくくなるうえに、お腹が張りやすくなります。お腹が張りやすくなると、切迫早産や早産になるおそれがあります。
赤ちゃんには、お腹の中でできるだけ長く過ごしてもらうのが理想的です。
安定期にはつわりが治まっている妊婦さんが多く、また、胎盤が完成しているため、流産する確率がぐっと下がります。安定期であれば、旅行を楽しむことができますね。
ただし、安定期に入ったからといって無理は禁物。
旅行する時期に近い妊婦健診で、健診結果に問題があると判断されたり、医師に相談して止められたりするなら、旅行は控えましょう。
また、中には、安定期に入ってもつわりが続く妊婦さんもいます。吐きづわりやにおいづわり、寝づわりなどは、旅行しても楽しめないかもしれません。
宿を予約した、キャンセル料が発生するからといって、体調が悪いのに、旅行を優先するのは良くありません。当日はもちろん、普段の体調の変化を見逃さず、予定どおり旅行するか、キャンセルするかを決めてくださいね。
また、気温が高い日、低い日などは、体調を崩しやすいです。旅行中に体調を崩さなくても、旅行から帰った後に体調を崩すかもしれません。
妊娠中は服用できる薬が限られています。風邪などの病気にならないことが大事です。
天気や気温をしっかりチェックしておきましょう。
妊娠中の旅行の交通手段の選び方
自家用車や公共交通機関など、交通手段はたくさんありますが、妊娠中の旅行の交通手段はどのように選べばいいのでしょうか。
旅行先が近場か遠方かによって、便利な交通手段は変わりますが、車、電車、バス、飛行機、フェリーのそれぞれのメリットとデメリットをみていきましょう。
1.車
車で旅行をするメリットは、周囲の目を気にせずにくつろげること、休憩を挟みながら自分のペースで移動できること、たくさんの荷物を持ち運ぶことができることの3つです。
移動中に体調を崩しても、近くの産婦人科に、すぐに向かうことができます。
一方、デメリットは渋滞に巻き込まれる可能性があることです。
渋滞に巻き込まれると、車はもちろん、妊婦さんも身動きを取ることができません。
同じ姿勢をずっととり続けると、血行が悪くなり、妊婦さんの気分が悪くなることはもちろん、お腹の中にいる赤ちゃんに栄養や酸素が運ばれなくなるおそれがあります。
また、妊娠中は、大きくなる子宮に膀胱が圧迫されてトイレが近くなります。
渋滞に巻き込まれると、サービスエリアまで時間がかかってしまい大変です。
2.電車
電車で旅行するメリットは渋滞に巻き込まれないことです。
出発到着時間が決まっているので、予定を立てやすく、また、下車した駅で、トイレに行ったり、休憩を挟んだりできます。
一方、デメリットは駅構内の移動で疲れやすいこと。
乗り換えが必要な場合、電車の発車時刻までに移動を済ませなければいけません。
万が一、電車の到着時刻が遅れると、急ぎ足で移動しなければいけない可能性があります。
乗る予定の電車に乗ろうと急いで移動すると、階段を踏み外したり、忘れ物をしたりしてしまうかもしれません。
電車を乗り換える場合には、一本遅らせてもいいぐらい、スケジュールに余裕をもたせる必要があります。
3.高速バス
高速バスで旅行するメリットは費用が安いこと。
新幹線や飛行機に比べて安いので、浮いたお金で、ぜいたくなランチをしたり、いいホテルに泊まったりするのもいいですよね。
一方、デメリットはバス会社が指定する休憩場所まで降りられないこと。
車に比べて、バスは振動が身体に伝わりやすく、車酔いする方が多いです。
車酔いしても、背もたれを倒して我慢しなければいけません。もし、後部座席に他の乗客が座っていたら、背もたれを倒せないかもしれません。
また、他の公共交通機関に比べて、空間が狭く密室なため、妊婦さんの性格によっては、より気を遣ってしまうかもしれません。
4.飛行機
飛行機で旅行するメリットは、旅行先が遠い場合、どの交通手段よりも移動時間が短いことです。
移動中に疲れてしまうと、旅行先に着いてから楽しめませんよね。
移動時間が短ければ、移動中の疲れも少なく、また、旅行を長く楽しめます。
一方、デメリットは、離陸すると着陸するまで降りられないことです。
飛行機が離陸すると、気圧が変化するため、妊娠していなくても、気持ちが悪くなる方が多いです。
また、気持ちが悪くなっても、背もたれを倒す程度しかできないため、着陸するまで我慢しなければいけません。
飛行機に乗るなら、妊娠週数に関係なく、妊娠していることを航空会社に伝えておきましょう。
航空会社や空港によりますが、優先してチェックインをしてくれる窓口、優先搭乗させてくれるサービスがあります。
また、座席が空いていれば、足を伸ばせる座席を手配してくれるかもしれません。
5.フェリー
フェリーで旅行するメリットは、家と同じように過ごしながら移動できることです。
大部屋や個室など、客室には種類がありますが、どの客室でも布団を敷いて寝転べます。
気持ちが悪くなったり、眠くなったりしたら、いつでも横になることができます。もちろん、大部屋であれば、他人の声やいびきでリラックスできないかもしれません。
でも、個室であれば、他人に左右されることなく、また、他人に気を遣うこともなく過ごせます。
一方、デメリットは、どの交通機関よりも、移動時間が長いこと。
旅行先によりますが、近場でない限り、出港してから10時間は下船できません。
移動中に体調を崩しても、横になって我慢するしかありません。
また、妊婦さん自身や一緒に旅行する方が働いていると、休みを確保するのは難しいですよね。産休、育休を控えていると、気持ち的に休みを取りづらいと思います。せっかくの休みを長い移動時間に使うのはもったいないかもしれません。
私には子どもが二人いますが、それぞれの妊娠中に旅行したことがあります。
フェリーを選んだ理由は、旅行先まで最も便利だったから。また、私も母も仕事をしておらず、休みを気にしなくて良かったからです。大部屋に比べると料金は高くつきましたが、個室を選びました。
フェリーにはレストランがありましたが、乗船前に購入していたお弁当を個室で食べました。個室にはトイレも付いているので、船内での移動距離は短く、移動中に疲れることはありませんでした。
フェリーを降りた後は、観光バスやタクシーを使って観光しました。観光バスは、バス会社が旅行先で人気の観光地をピックアップしてくれます。旅行の計画を立てるのは楽しいですよね。
でも、観光地をピックアップするところまで手が回らないという妊婦さんもいらっしゃると思います。観光地を調べる余裕がなければ、観光バスを利用してみてはいかがでしょうか。
旅行先は自宅から高速道路で2時間ほどの場所で、車で向かうのが一番便利だと思ったからです。
でも実際には、一時間に一度は休憩を挟み、トイレに行ったり、身体を軽く動かしたりしていたため、3時間はかかりました。夫婦二人だと、荷物は少なくて済みます。
でも小さな子どもが一緒だと、哺乳瓶やミルク、着替えやオムツなど、かさばる荷物がたくさんあります。
特に、夏場は汗をたくさんかいた時に備えて、着替えを多めに持って行かなければいけません。また、冬場は防寒のために厚手の服を持っていかなければいけません。
私が旅行した時期は春だったので、厚手の服は必要ありませんでしたが、それでも子供用品はかさばりました。
旅行先が車で行ける範囲なら、自家用車やレンタカーを使って旅行先に向かうのがおすすめです。
まとめ
妊娠中の旅行先、時期、交通手段の選び方を紹介しました。
旅行先は、近くに産婦人科があること、夫婦二人だからこそ楽しめることの2点の他、マタニティプランのある宿を利用するなどから検討しましょう。
旅行先が自宅から遠い場合は、急な体調の変化に備えて、道中の病院も調べておいてください。
また、妊娠中に旅行するなら、安定期がおすすめです。でも安定期であっても、リスクはあります。
妊婦健診の結果を見たり、医師に相談したりして、旅行するかどうかを決めましょう。
交通手段としては、車、電車、バス、飛行機、フェリーなどがあります。自宅からの距離や旅行日数、荷物の量などから、総合的に判断して選びましょう。
妊娠中だからといって、妊娠前にしていたことを我慢して、ストレスをためるのは良くありません。
妊娠経過に問題がなければ、妊娠中しかできないマタニティ旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。